主人公。安倉木智也(あくらぎともや)は、父親と二人で暮らしていた。
母親とはもう10年も前に死に別れている。

男二人の生活はなかなか上手く行かないものだったが、近所に住む智也の幼なじみ、美砂が、
だらしない彼らの面倒を見ているような状況だった。
失われた母親の代わりのように。

美砂と智也は、突然別れる事となった。

父親は気象予報士の仕事をしているが、その勤務先が変わることとなったのだ。行き先は北海道。

智也と父親は、引っ越しの準備を進めていた。
美砂は、置いて行かれる事になる。

離ればなれになる寂しさに耐えられなくなった美砂は、家族になるため……冷たく当たる養母と
決別するため、智也の父親・安倉木耀司と結婚した。

かくして。

本当に籍まで入れてしまい、名実共に母親になってしまった美砂と、同い年の母親を持つ事に
なった智也は北海道の同じ学校に通う事になる。

その学校で、空を愛する人たち『大空倶楽部』の仲間に出会い、それぞれの生き方に触れてゆくうち、
様々な過去と共に、立ち止まってしまった人たちの『翼』を感じる。

智也自身も、立ち止まっていた。美砂の事を思い悩み、空を見上げていた。やがて訪れる変化を、
その空の中に読みとるように。祈るように。



『僕たちはみんな、空から生まれて、空へ還るんだよ』