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主人公はヨーロッパを放浪して日本に戻ってきた。
日本に身寄りはなく、路上ライブで生計を立てながら日々を過ごしていた。

風のように世界を渡り歩いて来た彼だが、日本で果たしておきたい想いがあった。
心の隅に引っ掛かった想い……『初めての男』に逢いたい、それだけだった。

幼い頃から、男友達に友情以上の“何か”を感じていた主人公だったが、
それが同性への“愛”だと気付くのには、高校の夏を待たねばならなかった。

同性愛という概念を知ってからの主人公は、貪欲に情報を漁り、自分を探し続けた。
……そしてハッテン場の存在を知った。

胸をときめかせハッテン場に出会いを求める主人公。
自分の仲間、自分と同じ悩み、想いを抱えた男に会いたい…
その気持ちに突き動かされるように、雑誌で知った夜の公園を訪れたのだ。

そして、その『男』に出会った。
おずおずと声を掛ける主人公に、値踏みするような視線を投げかける男…
どう切り出せばよいのか…相手が本当にゲイなのかも判らない。

「ここって……ハ……ハッテン場…ですよね……」

戸惑う主人公がなんとか切り出せたものの、男の行動は彼の予想を超えていた。

茂みへ押し倒され学生服を剥ぎ取られた……そして濃厚な愛撫。
肛門に冷たくぬるりとした感触。一瞬の躊躇。
それを無視するかのように絶妙の指技が蕾を通り、未開拓の内蔵を刺激した。
脳内を殴打されるような衝撃。激しい飛躍に精神がついて行かなくなった……

気がつくと男はいなくなっていた。
一瞬、失望に打ちひしがれた主人公だったが、そうではなかった。
ちゃんと衣服を整えられ、ベンチに寝かされていたのだ。

それからの主人公は“あの夜”が忘れられなくなってしまった。
それは行為だけではなく、男性同士でも愛し合えると言う事実を確認したからだ。

そして、いくつもの経験を経て、日本に帰ってきた。
すでに祖国と言う感覚はなく、世界の国の1つとしてしか感じられない。
ただ、ずっと引っ掛かったままの想い。

『初めての男』の男に逢いたい。

主人公は「初めての男」を探し始めた。
この街に…この国に飽きるまでに見つけ出したい。

そんな想いを抱え持ったまま、主人公はまたストリートに出ていった。

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